2020年6月12日号の留学生新聞ニュースに以下の記事が掲載されました。留学生に限らず、日本人学生も十分に注意してください。
~コロナで仕事を失った留学生につけ込む手口が増加中~
新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入を失った留学生が、キャッシュカードや現金、高額商品の受け取りといった「偽アルバイト」に誘導されるリスクが高まっている。9日には首都圏の大学に通う女子留学生が、70代の女性からキャッシュカードを詐取しようとして、警邏中の警察官に逮捕される事件が起きた。女子学生は新型コロナウイルス感染症のためアルバイトが無くなり生活に困っていたところに、SNSで「カードを受け取るアルバイト」の情報を得たと供述している模様だ。
こうしたいわゆる「受け子」犯罪は、従来から犯罪分子による様々な手口が相次いでおり、警視庁や関係自治体では繰り返し注意喚起を行ってきた。関係筋によれば現金やキャッシュカードなどの授受に止まらず、不正入手したカード情報などを使い、通信販売で購入した高額商品を、事前に準備した場所で受け取らせたり、転売させる事例が目立つという。
一連の行為には偽造されたクレジットカードや、金融機関を装った偽メールなどで誘導されたフィッシング詐欺により詐取されたカード情報が使われていることも多い。首謀者たちは自分の足がつかないよう、SNSで留学生らを「アルバイト」として勧誘することで、これら犯罪行為の片棒を担がせている構図だ。そうとは知らず現金や商品を受け取るだけの簡単で割りの良い仕事で好収入が得られると吹聴され、SNS等で誘導される若者は国籍を問わず少なくない。
受け子の他にも、偽造カードを使いコンビニエンスストアやドラッグストア、大型スーパーなどで高額商品(タバコ、化粧品、ゲーム機、PC、デジタルカメラ等の家電機器)をまとめ買いする「買い子」や、銀行で現金を引き出す「出し子」の役割を担わされる例もある。
これらはれっきとした犯罪行為であり、いったん関与してしまえば後々「ただのアルバイトのつもりだった」とか「知らなかった」では済まされず、結果として検挙され留学生活が続けられなくなるばかりか、国外退去に至る可能性も十分にある。
とりわけ昨今は新型コロナウイルス感染症の蔓延が、こうした犯罪を増長させる土壌となっている。これまで勤務していたアルバイト先から解雇・休業を告げられ、学業や生活の糧を失った留学生が多く、普段以上に仕事探しに躍起となっているため、犯罪分子に容易に付け込まれやすい状況が生まれているのだ。
目下、多くの留学生がキャンパス閉鎖などにより通学できず、自宅でのオンライン授業を受講しているが、大学等で教員やクラスメートと直接接する機会が少ない分、SNS等を介した情報への依存度が高まっていることもあり、なおさら警戒が必要な局面と言える。留学生と最も近くで接している関係者が、可能な範囲で日常生活に関する状況をなるべく個別にヒアリングし、不適切なアルバイト等に従事させられる気配がないか、きめ細かな目配りを行うことが犯罪抑止のカギを握る。